我が家に産まれた娘は先天性疾患を持っており、産まれて数日後には大学病院のNICUに搬送され、1ヶ月ほどNICUに入院していました。
おりしも時期はコロナ禍の緊急事態宣言が明けたばかり。都内の大学病院は面会制限があり、原則面会禁止でした。
初産でなにもわからないまま産まれた子どもは入院、自分は出産した病院に入院したまま、周りは無事出産を終えて幸せな雰囲気で絶望したのをよく覚えています。
頻回授乳もできないばかりか娘に会えない中、わたしが母乳育児を諦めないために使ったグッズやサービスをまとめてみました。
コロナ禍でのNICU入院
コロナ禍での緊急事態宣言明けで、我が家の娘が入院した病院は原則面会禁止でした。
基本的に娘には一切会えず、オムツと搾乳を届けるのみ。コロナ以前のNICUではなるべく母子分離をしないように毎日数時間の面会もあり得たと聞くと、信じられない状況でした。
搾乳を届けるといっても母乳はすぐでない
搾乳した母乳を届ければ、哺乳瓶で看護師さんが飲ませてくれることになっていました。
母乳を届けるだけなら毎日行っても良いシステムでしたが、そもそも初産で産んで、一度も赤ちゃんの口に含まれたことのないおっぱいから母乳が湧き出るはずもありません。
産んだ産院では赤ちゃんがいる前提での母乳指導はあったのですが(受けてないので具体的には不明です)こちらから求めない限り、赤ちゃん不在での母乳指導はありませんでした。
これがおそらく大学病院で産んで、同じ場所のNICUに入院になっていたら、また違ったのだと思います。
娘の手術に付き添い入院した時、別の大学病院で出産した超未熟児の赤ちゃんのお母さんと同室になりましたが、そこの病院は母乳育児に力を入れていて、未熟児だからこそ母乳をあげるべきと熱心だったとおっしゃっていましたし、その人の赤ちゃんは直母は苦手でも哺乳瓶で母乳育児ができているとのことでした。
産んだ産院や病院で母乳指導が受けられるならそれが一番だと思います。
初乳をあげられるのは生後10日程度
初乳は母親からの大切な免疫成分と、さまざまな栄養成分を含み、少しでも初乳をあげるのがとても重要と言われています。
生後10日程度しかあげることのできない貴重な母乳ですが、出ないものは出ないし、出すすべも知らないし、どんなに母乳が出なくてほぼミルクの人でも赤ちゃんに口に含ませて少し滲むくらいは飲んでいるだろうと思うとすごく焦りました。
初産でも1日早く退院、そしてPCR検査
初産でしたが、赤ちゃんがいないので授乳もなし、調乳指導も沐浴指導もなしで一日中ベッドで寝ているだけだったので、会陰切開の傷の痛みでまともに動ける状況ではありませんでしたが、1日早く退院させてもらいました。
赤ちゃんの泣き声が聞こえ、他の母親たちがいる病院にいるのはなによりしんどかったというのもあります。
娘の今後の治療方針について聞き、NICUの退院指導という名目で赤ちゃんに面会するために、自分の産院を退院したその足で大学病院に行き、PCR検査を受けました。
まだコロナに身近に罹った人もおらず、街中で気軽に受けられる今と違い、そんなにPCR検査が普及しだしていない頃だったので、急な展開には驚きました。
娘も他院からの転院だったので、生後数日でPCR検査を受けていました。
PCRで陰性なら、週に1日程度、退院指導として母親だけ面会し、沐浴などの世話を手伝うということになりました。
退院の目処がつかないと、完全に面会禁止で、リモート面会になるということでした。
リモート面会と言われても、赤ちゃんは親が見ているなんて意識もないでしょうし、ただ画面上でベッドの上にいる我が子を眺めるくらいになってしまうと思います。
退院指導の中には直母の練習も含まれるとのことでしたが、それまでに何もしなければ母乳もでなくなるかもしれない、と焦りました。
せめて娘が退院するまでに直母は難しくても母乳がきちんと出るようにしておかなくてはと思い、いろいろ使えるサービスやグッズを調べました。
母乳育児を諦めないために頼ったグッズやサービス6選
桶谷式母乳育児相談室
まず私が調べたのは母乳育児の相談に乗ってくれる助産院でした。
桶谷式のことは出産前から名前を知っていましたし、区の子育て支援サービス事業で使えるクーポンの対象だったことも大きな決め手でした。
桶谷式母乳相談室に予約して相談に行ったところ、母乳マッサージとともに、NICU卒のお母さんたちの体験談を聞かせてくれたり、娘の疾患についてもよく理解して下さり、大丈夫とたくさん励ましてもらえました。
NICUでの助産師勤務経験のある助産師さんだったのもあり、母乳の件だけでなく、精神的に参っていた部分をしっかりサポートしてもらえました。
赤ちゃんがいない中での母乳の立ち上げについても知識をお持ちで、母乳マッサージとともに、家でのケアや搾乳方法を教えてもらえたので、なんとか量は少ないながらも母乳が出るようになりました。
赤ちゃんのいない中3時間ごとの搾乳、特に夜中起きて搾乳機に頼るのはかなり精神的にきましたが、全くでない状態から少しでも出る、という状態になり、少しずつでもNICUに持っていける母乳が作れるようになったのは本当にありがたかったです。
なにより赤ちゃんのNICU入院中の辛さを吐いたり、病児育児の相談や、子育て相談ができる相手ができたのが大きかったです。
結局こちらの桶谷式母乳相談室には、第二子ができて卒乳しなくてはいけなくなるまでお世話になりました。引っ越してしまったので同じ相談室には通えないかもしれませんが、第二子も桶谷式母乳相談室にはお世話になる予定です。
桶谷式母乳相談室のWEBサイトでは全国330以上ある相談室を検索できます。
お近くの地域にないか調べたい方は活用してみてください。
桶谷式母乳育児ママサポートサイト
Medela スイング 電動搾乳機
桶谷の母乳相談室の次にこれがないと無理だったと思うのがMedelaの電動搾乳機です。
搾乳機にもいろいろありますが、赤ちゃんがいないで母乳の全てを搾乳から得る必要があるので、電動搾乳機であることは必須でした。
手動の搾乳機はあくまでも赤ちゃんの母乳の飲み残しを搾ったり、たまたま赤ちゃんがそばで吸えない時に使うもので、1日8回がっつり搾乳が必要な時に使えるものではないと思います。
私が購入したのは、Medelaのスイングという片方ずつ搾乳するタイプでしたが、お金に余裕があればスイングマキシという1度に両方の乳房から搾乳できるタイプにすればよかったと本気で思いました。
Medelaは助産院や病院でも導入しているところがあり、産院からお勧めされて購入される人も多い安心のブランドです。
Medela独自の2フェーズ搾乳テクノロジーで、赤ちゃんがおっぱいを吸うときのリズムを再現してくれるので、授乳と同じ感覚で搾乳することができます。
また、電池とACアダプター両方に対応しているので、どこでも搾乳できるのもメリットです。付き添い入院のときは自由に電源を使える場所は限られていたのでとても助かりました。
搾乳機のパーツは洗って電子レンジ消毒できたので衛生面でも安心して使えました。
搾乳機がなければ間違いなく母乳をたくさん作ることはできなかったと思うので、本当に助かったアイテムです。
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Combi 除菌じょーずα
搾乳機、哺乳瓶の消毒にかかせなかったのが電子レンジでできる除菌グッズです。
鍋による煮沸消毒は毎回お湯を沸騰させて5分以上煮て取り出して拭いて保管して、というのがとても大変でした。
ミルトンなどの薬液消毒は私は匂いが気になるのと、つけてから1時間ほど時間がかかるので、3時間おきに搾乳しなくてはいけない中では使いづらく感じます。
電子レンジ消毒は、レンジに入れて5分で完了しますし、そのまま保管ケースにもできるので次の搾乳時間までそのまま放置しても大丈夫だったのがとても助かりました。
我が家ではアカチャンホンポの電子レンジ消毒ケースを使っており、2台目でCombiの除菌じょーずαを購入しましたが、どちらも使い勝手は変わらず使いやすかったです。
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ピジョン 母乳フリーザーパック
NICUに母乳を届けるのに必須だったのが母乳バックです。
搾乳機で絞った母乳を母乳フリーザーパックに移し替え、名前、内容量、日付や時間を記入しておきます。
娘が入院していたNICUでは専用の母乳管理用のバーコードがついたラベルをもらい、それに日付を記入して持っていっていました。
入院してから20日ぐらいまでは40mlのものをメインで、その後は80mlのものをメインで使用していました。
NICUで母乳育児しようと思うと実質必須のものであり、使用頻度が高いのに結構いい値段がする(普通に粉ミルク溶いた方が全然安いです)ので、普通のフリーザーバックくらい安くなるか、もしくは子供の保険適応にしてほしいと思いました。
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AMOMA 母乳育児ハーブティ ミルクアップブレンド
出産した病院のほうでサンプルをもらって興味を持ったのがAMOMAのミルクアップブレンドでした。
授乳期でも飲めるハーブを使っていますし、搾乳に疲れ始めた時期にストレス解消も兼ねて飲み始めました。
カレーのようなスパイシーなフェンネルの香りがするので、味が苦手という人もいますがわたしはもともとスパイシーなチャイなどのお茶も好みだったので、特に気にならず美味しく飲めました。
温かい水分を意識的にとることになるので体調も整えられるし、張ってくる感覚も確かにあったのでお守りとして飲んでいました。
体質に合う合わないはあると思うので、まずは1袋試してみて継続するか考えてみてもいいのかなと思います。
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Pigeon 桶谷式直接授乳訓練用 母乳相談室 哺乳器(哺乳びん)
一時的に母乳が飲めない赤ちゃんが乳頭混乱を起こしづらいように設計された哺乳瓶です。
出産した病院がもともと新生児室で母乳相談室を使っていたので、病院に合わせて出産前に始めから用意していたのですが、結果大活躍してくれ、今は廃盤になってしまっているMサイズも取り寄せて使うぐらい卒乳までずっと頼りにしていた哺乳瓶です。
母乳実感など一般的な哺乳瓶よりも乳首が固くできていて、赤ちゃんがしっかり哺乳の姿勢ができていないとミルクが飲めないようになっています。
NICUでは母乳実感を使っていましたが、退院後は母乳相談室に切り替え、なんとか卒乳まで混合で育てることができました。
ちなみpigeonの母乳実感の哺乳瓶と互換性があるので可愛いデザインが欲しければ乳首だけ母乳相談室、哺乳瓶は母乳実感のものにすると良いです。うちも洗い替え用のものはそうしていました。
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NICU卒業後は混合育児に。できる限りのことはしたけど結局母乳で育てられるかは赤ちゃんとママの体質次第
桶谷式母乳相談室に頼りながら週に1度赤ちゃんと面会し、できる日のみ授乳指導を受けて1ヶ月。
1日8回の搾乳とNICUへ届ける日々が続きましたが、なんとか娘は哺乳できるようになり、直母での授乳が可能になりました。
しかし私の体質もありますし、娘の哺乳する力はやはり弱かったので、完全母乳までは行かず、毎回直母後にミルクを足して、卒乳まで育てました。
母乳もあげつつミルクを足して育てるのは準備や手間も時間もかかり本当に大変でした。
今思えばそこまで母乳で育てることに固執しなくてもよかったのかもと思いますが、自分でできる範囲のことをできる限りやったと思えるので、最終的に混合に落ち着いても納得できたのかなと思います。
おそらく最初から諦めて完ミでそだてても、NICUに入れることがなかったら、病気がなかったら、と母乳育児への憧れや執着が残ったと思うので、これでよかったかなと思っています。
母乳で育てるか完全ミルクで育てるか混合になるのかは完全にママの体質や赤ちゃんによるとしか言えないと思うので、周りの意見に流されず、無理せず自分の気持ちを大切にして育てていけたら良いのではないでしょうか。
まもなく、第二子が産まれる予定なので、今回無事に産まれたなら再び桶谷式母乳相談室に通いながら、母乳育児を目指しつつ、上の子や家事との兼ね合いで場合によってはミルクになってもいいかなとゆるい気持ちで向かおうと思います。